後立山南部(長野) 爺ヶ岳中峰(2669.9m)、南峰(2660m)、北峰(2631m) 2023年6月4日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:03 柏原新道登山口−−2:05 ケルン−−3:06 登山道を離れる(標高2170m付近)−−4:09 爺ヶ岳南尾根(標高2450m付近)−−4:40 爺ヶ岳南峰−−4:53 爺ヶ岳中峰 4:55−−5:11 登山道を離れる−−5:13 爺ヶ岳北峰 5:15−−5:18 登山道−−5:37 爺ヶ岳中峰 5:40−−5:52 爺ヶ岳南峰 6:12−−7:19 南尾根を離れる(標高1940m付近)−−7:20 登山道(標高1940m付近)−−8:14 柏原新道登山口

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2023年6月4日 日帰り
天候
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口前に駐車場あり
登山道の有無冬道(爺ヶ岳南尾根)は大部分が夏道並みの濃さの道があるが一部踏跡程度の区間あり
籔の有無冬道(爺ヶ岳南尾根)は大半が灌木や笹がはみ出ているが、一部は踏跡が無く根曲がり竹藪の藪漕ぎあり
危険個所の有無無し
冬装備軽ピッケル:出番なし  10本爪アイゼン:出番なし
山頂の展望南峰、中峰、北峰とも邪魔するものがなく晴れれば大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント残雪期末期に夏道→南尾根経由で爺ヶ岳へ。今は残雪期と無雪期の端境期で夏道はまだ残雪に埋もれてトラバースが危険な個所が残っているが、南尾根の冬道は雪解けが進んで例年遅くまで残雪が残る場所の雪が消えて踏跡が無い藪の中を進まざるを得ない場面がある。今回は残雪がある場所まで夏道を進んでから南尾根に上がろうと考えたが予想以上に雪が無く、標高2170m付近から無雪の小尾根に取り付いたが激藪で大いに苦労した。できるだけ夏道を利用する場合でも登山道と南尾根が最接近した標高1950m付近で乗り移るのが最適解と思われる。気温は低かったが天気は良好で予想よりも風は弱くて概ね快適に歩けた


爺ヶ岳北峰から見た爺ヶ岳中峰と南峰。稜線の登山道にもう雪は無い


柏原新道登山口前駐車場 八ッ見ベンチの南尾根入口はパスで夏道を進む
月と扇沢駅の明かり 最初の僅かな残雪は標高2000m付近
石畳付近の登山道上だけに雪がある 標高2170m付近の小尾根から南尾根を目指すことに。最初から激藪
標高2270m付近。藪が薄まる 標高2280m付近の僅かな残雪
標高2280m付近 標高2310m付近。残雪は長続きしない
標高2370m付近。立った枝はハイマツ 標高2380m付近。ハイマツの海の真っただ中
標高2400m付近。ハイマツ地獄脱出 南尾根の冬道に乗る
岩やハイマツに霜が降りていた 4時半過ぎに日の出を迎える
爺ヶ岳南峰山頂 縦走路に雪は無い
霜と言うよりエビのしっぽに近い 中峰に向かう
爺ヶ岳中峰山頂 爺ヶ岳北峰に向かう
低灌木は霧氷で真っ白 霜に覆われたミヤマキンバイ
ミヤマダイコンソウの葉 キバナシャクナゲの蕾
ここから北峰に向かう 爺ヶ岳北峰北側鞍部で稜線に出る
爺ヶ岳北峰山頂 爺ヶ岳北峰から見た爺ヶ岳中峰、南峰
爺ヶ岳北峰から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
先人の足跡 北側鞍部
北側鞍部から登山道は砂礫地 冷池山荘
冷池山荘テント場 氷柱。気温は0℃を僅かに下回る程度だろう
中峰への登り返し 霜で凍ったコケモモの蕾
エビのしっぽ 爺ヶ岳中峰山頂
爺ヶ岳中峰から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
爺ヶ岳中峰から見た常念山脈、槍穂
爺ヶ岳中峰から見た剱岳 爺ヶ岳中峰から見た針ノ木岳。破線はヤマクボ沢
中峰〜南峰間鞍部の雪渓 南峰への登り返し
爺ヶ岳南峰山頂 爺ヶ岳南峰から見た富士山
爺ヶ岳南峰から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
爺ヶ岳南峰から見た八ヶ岳
爺ヶ岳南峰から見た南アルプス
爺ヶ岳南峰から見た大沢右俣(破線) 爺ヶ岳南峰から見た爺ヶ岳南尾根
爺ヶ岳南峰から見た種池山荘 爺ヶ岳南峰から見た扇沢駅
爺ヶ岳南峰から見た西への県境稜線 南尾根を下る
標高2340mで矮小樹林帯へ入る 道は明瞭
大型連休中は東の残雪帯を通ったが稜線西側に道があった まだ標高2340m等高線の中
標高2330mで冬道が消えて東の残雪帯に乗る 2320m峰への下りは雪が無く笹藪漕ぎ
2320m峰への登り返し 防寒装備を脱いだら時計がリセット。今年何度目か・・・
2320m峰を越えると雪が消える 雪があるのは南東へ延びる別の尾根なので引き込まれぬよう注意
正しい尾根は雪が消えて藪を分ける。踏跡無しだが目印多数あり 目印の一つ
標高2280m付近。まだ踏跡は復活しない ショウジョウバカマ
標高2270m付近で踏跡復活 標高2250m付近
標高2160m付近の標識 マイヅルソウの蕾
ミツバオウレンの葉 イワカガミの蕾
オオカメノキ 石楠花
穴。前回より広がっているような? 標高1950m付近で藪に入り西へ下る
1分かからず登山道へ出る 下ってきた斜面
イワナシ 葉の形状からオオバキスミレだと思う
シラネアオイ。見られてよかった ミツバオウレンの花と葉。三つ葉が目印
ヒメイチゲ。キクザキイチゲよりもずっと花が小さい 初めて見る種類のスミレだが同定できず
扇沢の駐車場 針ノ木雪渓の人の影
たぶんモミジイチゴ イワカガミ
八ッ見ベンチの南尾根入口 マイヅルソウ
カラマツソウとミヤマカラマツの花の違い。葉は同じ形状 今年初のツマトリソウ
葉の数からしておそらくクルマバソウ テガタチドリかと思ったが葉の形状からノビネチドリと判明
タニウツギだと思う 対岸の駐車場の車は2台
登山口前駐車場。車は4台 今回見た石楠花の葉の根元。ハクサンシャクナゲっぽい


 今週末は梅雨入前なのに、よりによって台風の影響が。金曜日から土曜日にかけて本州にかかる前線に向かって湿った風を送り込んで線状降水帯の発生が予報されるほどの大雨予報。北アルプスのある安曇野、大町、白馬地方は金曜から大雨警報が出ており、アプローチの県道は雨量規制で通行止め。よって土曜日は強制的にお休みとして天気が回復する日曜日に山に向かうことにした。

 行先であるが、前線の北側の冷たい気団に入ったこともあり天気は晴だが標高3000mの天気予報は気温は0℃前後で前線がまだ近い位置にあるので平均風速が15/s前後と暴風の様相。稜線歩きが長いルートはずっと北寄りの爆風状態が続くので避けることにして、爺ヶ岳南根経由で爺ヶ岳とした。これなら爺ヶ岳南峰までは稜線で風がブロックされるので安心だ。中峰、北峰までの距離も近い。

 残雪状況を確認するためネットで最近の記録を調べたら酷い藪漕ぎとの記述が複数見られた。おそらく例年なら残雪が残っていて踏跡が無い区間の雪が消えてしまったのだろうと予想。おそらく2320m峰付近がその場所であろう。その藪を避けるには夏道でもっと北上して残雪を伝わって森林限界を超えた標高2350m付近で南尾根に出るのが得策と判断。夏道で標高2150m付近から斜面を登ればいいだろう。おそらくこの標高ならまだ斜面に残雪があると予想した。

 土曜夜の早い時刻に登山口に到着したが、予想外に駐車した車が1台も無い! 週末の柏原新道でこの光景は見た記憶がない。なお、夜中1時に出発時も他に車は無かった。残雪期と夏山シーズンの端境期とは言えここまで少ないとは。爆風予報の影響もあったかもしれない。

 今回は日曜登山で翌日は会社であり、できるだけ帰宅を早めて体を休めたいので山頂到着は日の出の時刻の5時に設定して夜中1時に出発。上空は星空で下界では北風は全く感じられない(当然だ)。LEDライトを点灯して出発。冬装備は10本爪アイゼンと軽ピッケル。

 前回ここを登ったのは1ヵ月前で、当然ながらその当時より格段に雪解けが進んで標高2000mに達しても僅かな雪の欠片しか残っていなかった。それでも石畳くらいまで登れば雪があるだろうと安易に考えていたが、確かに登山道上には雪があったが斜面には全く雪が見られない。小屋が営業中は水平道の標識がぶら下がっている地点でも斜面に雪は無く濃い藪ばかり。このまま夏道を上がり続けるとアザミ沢くらいまで雪がありそうにないが、アザミ沢を上がると南峰てっぺんまで直線的に達することになり、途中からは長距離のハイマツの激藪が確定的だ。  仕方がないので標高2170m付近の小尾根に取り付いて南尾根を目指すことにしたが、ここにも全く雪は見られず最初から根曲がり竹と低いシラビソの激藪状態であった。幸いにして気温が低いので長袖で藪に突入できる。私は笹アレルギー持ちなので皮膚に笹が触れないように長袖、長ズボン、手袋が必須である。今回は防寒のためバラクラバを被っているので首筋からの藪ゴミ混入も防止できる(大いに役立った)。

 覚悟を決めて藪に突っ込んだが予想以上の激藪。おそらくここ数年で最も濃い藪だった。根曲がり竹に低い位置から枝を伸ばしたシラビソが混じってハイマツ並みの強固な藪で、帰宅後にGPSの軌跡を見たら藪突入前に着替えていた停止中の移動速度と藪に突入後の移動速度が変わりなく、いつ出発したのか分からなかったほど。シラビソの枝は固くて押し分けるのは不可能であり、地面に足が付かない下向きの根曲がり竹を分けて横移動するのが一苦労だった。藪でライトの光が遮られるのでほとんど先の様子は見えず、とにかく上を目指して登るだけだった。今回は登りなので細かなルートを気にする必要が無いので藪に突入できたが、下りではこの行為は自殺に等しいだろう。おっと、今の時代はスマホで現在位置が分かるか。

 いつまで続くのか分からない激藪を漕ぐこと約30分、いきなり植生が変わって根曲がり竹が消えてシラビソではなく種類不明な灌木で地面付近の横向きの枝が無いので格段に歩きやすくなった。ずっとこの状況が続いたわけではないが、これまでのような激藪はもう短距離しか現れなかった。ただし残雪は相変わらずほとんど無く、あっても10m程度と短距離だけであった。しかも気温が低くてカチカチに凍ってツルツルに滑り、周囲の灌木に掴まって通過した。

 標高2370m付近で再び植生が激変。石楠花と立ったハイマツの連合軍で最悪レベルの藪だが、これは森林限界直下の兆候であり間もなく地獄の藪を脱出できることを意味する。立ったハイマツの距離は僅か10m程で、すぐに背丈以下になってあっと言う間に寝たハイマツに変わって劇的に歩きやすくなった。これは地面が土から岩に変わった影響が大きいだろう。できるだけ岩が出た歩きやすい場所を繋ぎつつ高度を上げていくのは格段に楽だった。

 やがて一面のハイマツの海が切れて砂礫の斜面が混じるようになり、すぐに南尾根に乗ると思ったら右手下に南尾根の平坦部、つまり2320m峰から標高2340mにかけての尾根が見えており、計画よりだいぶ北上していることが判明。まあ、ここまで深い藪の中で暗闇の中を登ってきたのだから現在位置が分からなくて当然だ。

 歩きやすい砂礫地帯を繋いで登るとやっと南尾根の冬道に合流。帰りはさっきの藪を通過するのはまっぴらごめんなので、多少の藪漕ぎは必要でも短距離で済むであろう南尾根を素直に下って、南尾根と夏道が最接近する標高1950m付近で夏道に乗り移ることにした。

 冬道は森林限界を超えた雪が無い砂礫地帯をジグザグに上がっていき、高度が上がると岩が重なった場所も登場するが岩が妙に滑りやすい。岩の表面では分かりにくいが近くのハイマツの葉には霜が付いており、どうやら岩の表面にも霜が降りているようだった。しかし奇妙である。ここは県境稜線で巻いた風が吹き降りるのか意外と風が強く、通常は風が強いと気温が低くても霜は降りないはずである。昨夜は気温がかなり低かったのであろうか。藪漕ぎ装備のおかげで風があっても寒さは感じずに済んだが、手袋は防寒テムレスでは不足気味であった。

 爺ヶ岳南峰山頂に到着する前に日の出を迎える。爺ヶ岳中峰に邪魔されて太陽は見えなかったが、西側に広がる針ノ木岳や立山、剱岳が赤く染まった。時刻は午前4時40分少し前で、もう日の出の時刻が最も早い時間帯にまで季節が進んでいた。日の出前には志賀高原の山の向こうに日光白根と燧ヶ岳が見えていたが、まだ高度が足りずにその周囲の山々が見えていなかったので南峰山頂で写真撮影しようと考えてこの時はデジカメを向けなかったが、南峰に到着した時には見えなくなっていた。残念。

 霜で滑りやすい石に注意しながら登り続けると無人の爺ヶ岳南峰山頂に到着。爆風状態かと思ったら予報より風は弱くて10m/sまで無かったと思う。ただし北寄りの風で気温が低いので肌を露出した部分は刺すように痛く、写真撮影のため手袋を脱ぐとたちまち指が冷えた。天気は良好で上空の高いところに薄い雲が出るのみで、下界は雲海もほとんど出ていなかったが空気の透明度は少し悪く、八ヶ岳や南アルプスが霞んで見えていた。

 今回も残雪期限定の北峰に立ち寄るべくすぐに南峰を出発。縦走路に出る間の短い下りの岩も滑りやすく注意が必要だった。縦走路には全く雪は無いがハイマツは真っ白。霜が降りたにしては白すぎると思ってよ〜く見たらミニサイズだがエビのしっぽ状だと判明。今は晴れているがおそらく昨夜は稜線にガスがかかってエビのしっぽが成長したのだろう。南峰と中峰間の鞍部南側の大きな雪渓はまだ残っていた。

 このまま北峰に直行するか迷ったが往路で中峰に立ち寄ることに。中峰山頂で写真撮影してすぐに北峰に向かう。途中にダケカンバと思われる葉が落ちた低い枝の灌木が密集したエリアがあったが、周囲のハイマツよりもエビのしっぽが顕著に発達していた。また、登山道脇には2株ほどミヤマキンバイが開花していたが、霜がびっしりついて真っ白になっていた。花が咲いた後に霜が付いても大丈夫なのだろうか? コケモモの蕾も霜に覆われていた。ミヤマダイコンソウはまだ葉っぱだけであった。

 縦走路が北峰直下を巻いて下り始める箇所で砂礫の斜面を登って稜線へ向かう。短い距離で北峰北側鞍部で県境稜線に達し、僅かなハイマツを分けて残雪に乗ると先人の足跡が雪の上に付いていた。

 残雪はカチカチだが傾斜が緩やかなのでアイゼン無しのまま上がって爺ヶ岳北峰山頂に到着。正確な山頂は既に雪は消えてハイマツの藪の中だったが、残雪から数mの距離なのでハイマツを分けて山頂に立ってパノラマ写真を撮影してすぐに中峰に戻る。中峰に戻る途中、登山道脇の窪みの中に氷柱を発見。今は全く溶ける様子は無かったので気温は0℃以下だろう。

 中峰に登り返して再度写真撮影。南峰にはまだ人影は見えない。出発時に駐車場に他の車は無かったとは言っても今日は好天の日曜日であり、おそらく他に登ってくる人がいるはずだ。明るくなりギリギリの午前4時に登山口を出発するとして最も早い人で南峰到着は午前7時過ぎかな。

 中峰でも休憩せずに南峰に戻ってから休憩。まだ南尾根の森林限界を超えたエリアに人の姿は無かった。そういえば今回は雷鳥の姿を見なかったし鳴き声も聞かなかったなぁ。

 約20分の滞在で下山開始した。まだ岩の霜は溶けておらず表面が平らな石の上は極端に滑りやすかったので、できるだけ石の角を踏みつつ下った。砂礫地帯に入れば霜の影響は無くなる。理由は不明だが開けた県境稜線よりも南尾根途中の方が風が強かった。

 標高2340mで傾斜が無くなって水平になると矮小な樹林帯に突入。ハイマツの海に変わると大型連休の時には稜線東側に広い残雪帯があってそちらを伝えたが、今はそこに全く雪は無く腰位の高さのハイマツ藪に覆われていた。ここから稜線上のハイマツ激藪漕ぎかと覚悟したが、大型連休の際は気付かなかったが意外にも尾根上のハイマツ中に踏跡が続いていて藪漕ぎは不要であった。冬道は尾根頂上から尾根西側直下へと続いていて、2320m峰への鞍部へ下り始める手前まで明瞭な道形があった。

 しかし2320m峰へ下り始める箇所で踏跡は消滅して根曲がり竹の藪に変わってしまう。おそらくこの先は例年のこの時期はまだ残雪があって藪漕ぎ不要な区間なのだろう。しかし短い距離で尾根東直下に残雪が登場して藪から解放された。でもこの雪も急激に溶けて来週は藪の距離がさらに増えるであろう。しかし鞍部から尾根東側に残雪が現れて藪を回避。ピーク直上を越えて南へと下り始めると再び雪が消えて根曲がり竹藪に突っ込み、すぐに残雪が現れるがこれを下るのはルートミスで、2320m峰から南東に下る尾根に乗ってしまう。正しい尾根は根曲がり竹に覆われた道が無い平坦な右手方向で、最初は尾根があるように見えないので注意。ただしピンクリボンが乱打されているので周囲を良く見れば迷わないだろう。ここも遅くまで残雪がある区間であり、例年ならば雪の上を歩けるので踏跡ができないのであろう。標高2270m付近まで下れば踏跡が復活し、以降はシラビソに覆われた尾根上の踏跡を辿ればいい。

 南尾根は樹林に覆われて日当たりが悪いので見られる花の種類は限定される。ショウジョウバカマは大型連休中も見られたがまだまだ咲いていた。イワカガミ、マイヅルソウはまだ蕾で、ミツバオウレンは葉っぱは見かけたが花は咲いていなかった。木ではオオカメノキ、石楠花が咲いていた。この標高の石楠花はアズマシャクナゲとハクサンシャクナゲの2種があるが、以前からネットで情報集しているが判別は難しい。高山植物同様に花を見ただけでは判別はできないようで、葉の付け根がポイントだと言う。アズマシャクナゲは柄と葉の根元が流れるように接しているのに対してハクサンシャクナゲは直角に近いと言う。具体的にそれを比較した写真があれば分かりやすいのだがネットで探しても出てこないので違いが良く分からない。今回見た石楠花の葉の写真を撮影しておいたが、どうもハクサンシャクナゲっぽい。今度石楠花を見かけたら葉の根元の写真を片っ端から撮影しておこう。

 帰りは標高1950m付近の小鞍部で南尾根を離れて西斜面の笹藪へと入ってすぐ近くにあるはずの夏道を目指した。GPSの軌跡では本当にすぐ近くのはずだが藪で全く見えないので疑心暗鬼。藪は柔らかい笹が中心で往路の激藪と比較すれば天国である。下り始めて1分もしないで夏道に飛び出した。夏道は斜面にあるので尾根上から見えないのは当然か。

 夏道に乗ってからは花を探しながらのんびりと下っていく。意外にも5,6人の登山者とすれ違ったが、彼らはあのまま夏道をずっと登ったのだろうか? 今回見かけた花はイワナシ、オオバキスミレ、シラネアオイ、ミツバオウレン、ヒメイチゲ、種類が分からないスミレ、モミジイチゴ、イワカガミ、マイヅルソウ、ツマトリソウ、カラマツソウ、ミヤマカラマツ、クルマバソウ、ノビネチドリ、タニウツギなど。

 初めて見た種類のスミレは無茎種で葉の色、形状はこれまで見たことがないものだった。グーグルの画像検索にかけてみたが、スミレとは判別できてもさすがに細かな種類までは判別できなかった。もっと時間をかけてネットで調べれば種類の特定はできそうだが、気長にやってみようと思う。

 カラマツソウとミヤマカラマツの両方が咲いていたので比較写真を作ってみた。カラマツソウは針のような花の太さが一定なのに対し、ミヤマカラマツは途中が太くなっていてふっくらした印象がある。

 クルマバソウは似た花がいくつかあるが、葉っぱの枚数からクルマバソウの可能性が高いと判明した。

 登山口近くに咲いていたハクサンチドリ似の花はテガタチドリかと思ったがネットで調べたら葉の形状からノビネチドリと判明。やはり近縁種の判別は花だけでなく葉の情報が重要であると再確認できた。

 登山口に到着すると対岸の駐車場に2台、登山口前の駐車場に私を含めて4台の車があるのみであった。


 帰宅後に今週末の爺ヶ岳の記録をネット検索したら、大雨の影響か1週間前よりも劇的に雪解けが進んで夏道をずっと進んでも雪の経験者なら結構行けることが判明。往路は藪漕ぎしないでそのまま夏道を行ってみれば良かったと後悔。なお、今年の種池山荘営業開始は例年より遅く7/1とのこと。ガレ沢の雪切もこれに合わせて行われるはずなので、6月中に登る場合は少なくともアイゼンは必要。万が一のことを考慮すればピッケルはあった方がいいだろう。

 

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